008: 国公立大学のラグビー部に期待すること(森 重隆・日本ラグビー協会会長/特別インタビュー2)

最終更新: 3日前

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《特別インタビュー》


 近年の大学ラグビーでは、関西や国公立勢の成績がなかなか振るわない。再建の道や、期待するところは何か。日本代表や新日鉄釜石で活躍した日本ラグビー協会の森重隆会長に聞いた。

取材:平成14年卒・谷口 誠(日本経済新聞 記者) 



――森さんは県立福岡高校で長年、監督をされました。国公立大学がラグビーをする意義は何でしょうか?

僕の教え子に京都大学に行った子が何人かいる。福岡なら(ラグビーが強い)修猷館、筑紫丘、福岡とかの子が国公立大学に行って、「俺たちはこうやっていたんだ」という伝統を伝えて、強くなってほしいと思う。日本協会の会長になってつくづく思うけど、色々な大学のOBの方が日本のラグビーのことを思ってくれている。みんなラグビーへの思いが強い。


――福岡高ではワールドカップ日本代表の福岡堅樹選手も育てましたが、文武両道であってほしいと部員に伝えていたのですか?

私がいた時とは頭の差があるからね(笑)。「勉強は好きなやつがやれ。嫌いなやつは腕立て伏せをしていた方がいいんじゃない(笑)」なんて話してましたけどね。福岡堅樹は理解は早かったですね。そこに対して努力も一生懸命にする選手だった。この前の日本シリーズでは、僕もやったことのない始球式もやっていた。ラグビーにとっては悪いことじゃないのでどんどん出てもらいたい。


――近年は関西のラグビーがあまり全国で勝てていません。

個人的な意見だけど、春の時点から関東の大学ともっと交流を図って、一緒に練習をしたりするといいのではないか。ちょっと温度差があると思うんですよ。天理大学は強いですけどね。日本のラグビーのために、もっと交流を図って強化した方がいいと思う。

同志社が強い時は独特のラグビーだったけど、今は少なくなってきた。もっと個性あふれるチームが出てきていい。ルールがそうなったからかもしれないけど。今は体が小さくても強いチームって難しいじゃないですか。京都大学もサイズで苦労しているんじゃないですか。スクラムなんて、今は低く構えることもできないから、体重の重い方が勝つ。指導者は難しいところじゃないですか。市口順亮さんとかが考えるラグビーができないようになってきていますよね。星名秦先生もそうだったと思いますが、明治といえば北島忠治、早稲田といえば大西鐵之祐というような、長期政権の指導者もまず出てこないと思う。3年サイクルとかになっていくんじゃないか。世界もそうなってきているし。



例えば、京都大学と釜石が3日も4日も一緒に合宿をしたような(違う地域のチーム同士の交流)があれば選手も感覚的に変わってくる。その世代の部員も仲良くなる。その後、どこかで出会った時に「あの時に一緒だったな」となって、人生にプラスになる。僕らも慶応と早稲田と明治のOB会の会長が同期だったり、そういうところで支えられている。そういう関係でわいわいやる所にラグビーの良さがあるということを認識しなければいけない。

ただ、自分の大学のことばかりじゃなくて、日本代表をどうしようか、そのために我々の大学がどうしようかということを考えていかないといけない。自分の大学だけが強ければいいという人はもうやめてくださいとならないと、代表は強くならないと思う。(2021年1月に開幕する社会人の)新リーグもそうだけど、すべてが日本代表に直結していないといけない。ラグビーに携わった連中が全員、「日本代表がどうなるか」と思ってくれる国にならないと、ずっとワールドカップでベスト8に入るのは無理だと思う。それをどう維持していくか。ぜひ京都大学のみなさんで考えていただきたい。



(2020年11月28日/日本ラグビー協会にて)

インタビュアー:谷口 誠(H14 /FL)/ 日本経済新聞 記者

撮影:西尾 仁志(H2 /CTB)


▼森重隆さんのプロフィール

1951年、福岡県生まれ。福岡高校でラグビーを始め、明治大学を経て1974年に新日鉄釜石に入社。主将、選手兼監督として日本選手権を4度優勝した。1974年から日本代表でもプレー。27キャップを獲得し、主将も務めた。1982年に現役引退。91年に実家の森硝子店の社長に就いた後、福岡高校ラグビー部の監督も務め、全国大会に導いた。2015年に九州ラグビー協会会長に就任。2019年からは日本ラグビー協会の会長を務める。



▼特別インタビュー2:森重隆日本ラグビー協会会長のインタビュー動画はこちら


>インタビュー3へ続く


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