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009: 国際交流の重要性〜京大オックスフォード遠征への期待(森 重隆・日本ラグビー協会会長/特別インタビュー3)

更新日:2021年11月26日

"To The NEXT 100 Yrs" 次の100年へ。

《特別インタビュー》


 京都大学ラグビー部は創部100周年事業として、2022年・2023年にオックスフォード大学と対戦する計画を立てている。福岡高校ラグビー部で定期的なニュージーランド遠征を始めた日本ラグビー協会の森重隆会長は、ラグビーを通じた国際交流の重要性を説く。



▼特別インタビュー3:森重隆日本ラグビー協会会長のインタビュー動画はこちら



――福岡高校の監督時代にニュージーランド遠征を始めました


僕が監督になった時、3年に1回、ニュージーランド遠征に行こうという話をしたんですよ。なぜかというと、1973年に僕が明治大学でニュージーランド遠征に行った時、「この国には勝てない」と思った。そこら中がラグビー場であちこちのグラウンドにポールが立っている。衣料品店にはジャージーが売っているし、スポーツ用品店には必ずオールブラックスのものがある。とにかく早くこれを学生に経験させないといけないと思い、福岡高校の先生に言いました。3回目の遠征の時にニュージーランドで地震(2011年のクライストチャーチの震災)があった。(学校側は)何かがあったらいけないので絶対だめだと言うんですよ。ちょうど福岡堅樹が卒業するという時でしたが、結局、香港セブンズに行きましたね。

(海外との違いを)若いときに気づくのと、大人になって50過ぎてから気づくのでは全く違いますから。ちょっとハードルは高かったけど、言い出して良かったと思う。今でも(ラグビー部の)同窓会に呼ばれて行ったりすると、みんなその話をしますからね。「何もできなくてショックだったけど良かった」って。部の創立100周年記念とかの時に、オール京大とかオール明治で海外に行っても役に立たない。必ず学生を連れて行った方がいい。できれば学生全員を、自費でもいいから連れて行った方が京都大学のためにもなると思う。



――遠征の費用はどう用意したのですか


3年生はそのために3年間、積み立てている。出せない1年制らにはOB会から補助する。社会人になったらそれは返せということで。そんなに高くなくて、あの時で17~18万円だったと思う。みんなでいくぞというのが原則でした。



――公立高では珍しいですね


他にないかもしれないですね。(学校側などを)説得するハードルは高かったですね。京都大学もオックスフォードと4年に1回とか、定期戦をやればいいじゃないですか。それが1番いいですよ。



――ラグビークラブや大学が収入を得ることについて


ラグビーをやっていたら金もうけをやったらだめというのが今まであったじゃないですか。でも、お金をもうけるのと(活動の費用を集めるのは)別の問題で、利用できることがあるならやった方がいい。そういう努力は絶対しなければいけないんじゃないか。今まではOB会費ばかりに頼っていたものね。





――福岡高校ラグビー部の学生が、ラグビーを文化として根付かせたいということで森さんに相談に来たそうですね


「慶応大学に行きたい」と言ってきたので理由を聞いたら、こんな話だった。2015年のワールドカップで、リーチ・マイケルと一緒に手をつないで入場する役目に選ばれた。イングランドがどうしてこんなにラグビーがすごいのか、日本では考えられない。(そうなるように)ぜひ、ラグビーに携わりたいということだった。僕が1973年にニュージーランドで思ったのと一緒なんですね。いくらOBだといっても、ラグビー協会の会長に話に行くなんてすごいなと。僕らの時は考えられなかった。「じゃあ応援する」と言ってね。

そういう子たちが色々なところにいる。そういう人たちの夢を叶えるのが協会だと思う。僕が1973年にNZで思ったのと一緒なんですよね。そこに思いをはせた。僕らの年になると、そういうのがなくなるんですよね。若い子は目がギラギラして、光ってますよね。そういう夢をかなえてやりたいですね。


(2020年11月28日/日本ラグビー協会にて)

インタビュアー:西尾 仁志(H2 /CTB), 谷口 誠(H14 /FL)/ 日本経済新聞 記者 撮影:西尾 仁志(H2 /CTB)



▼森重隆さんのプロフィール

1951年、福岡県生まれ。福岡高校でラグビーを始め、明治大学を経て1974年に新日鉄釜石に入社。主将、選手兼監督として日本選手権を4度優勝した。1974年から日本代表でもプレー。27キャップを獲得し、主将も務めた。1982年に現役引退。91年に実家の森硝子店の社長に就いた後、福岡高校ラグビー部の監督も務め、全国大会に導いた。2015年に九州ラグビー協会会長に就任。2019年からは日本ラグビー協会の会長を務める。


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