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077: 京大とオックスフォード大のラグビー交流~学士ラガー倶楽部の海外交流/Kew Occasionals親善試合(H2 稲葉 裕)

 京大、東大はじめとする旧帝大ラグビー部OBをメンバーとする日本最古のクラブチームである学士ラガー倶楽部(以下「学士」)は、1928年の創立以来、京大ラグビー部OBに卒業後のプレイの機会を提供してきた。学士は、1981年豪州、1985年英国、1989年カナダ、1993年ニュージーランド、1997年英国、2018年英国への海外遠征を実施し、多数の京大ラグビー部OBが遠征に参加、海外での本場のラグビーを体感することができた。

 本稿では、2016年5月のオックスフォード大学OB中心の英クラブチームKew Occasionals R.F.C.(以下「Kew Occasionals」)日本遠征時の学士との対戦と2018年5月に挙行した学士90周年記念英国遠征の模様(いずれもメンバーの大半は京大OB)を中心にオックスフォード大学ラグビー部(OURFC)関係者との交流について紹介することとしたい。




京大ラグビー部とオックスフォード大学ラグビー部との関係


 京大ラグビー部とオックスフォード大学ラグビー部との関係は、昭和52年卒の水田時彦氏の神戸製鋼所ラグビー部在籍時代に遡る。1978年から神鋼はOxford出身のプレイヤー採用を開始、その4人目としてReg Clark氏(オックスフォードvsケンブリッジの対抗戦(Varsity Match)に出場した「ブルー」)が1980年に入社、チームメイトの水田氏とは独身寮で隣室であったことや水田氏が神鋼ラグビー部では英語でのコミュニケーションが取れる数少ない部員であったこともあり、親交を深めることとなった。水田氏は折に触れ、京大は100年前からオックスフォードのDark Blueをスクールカラーとしていることや黎明期に指導された香山蕃氏が英国ラグビーに精通、特にVarsity Matchに強い憧れを持っておられ、それを京大で展開しようとされたことなどを、Regに伝えたところ、痛く感銘を受け、Regはその後の京大(及び京大OBが主力の学士)とのラグビーを通じた交流実現に多大なる貢献を果たすこととなった。


 1985年の学士英国遠征では、ツアー・セクレタリーを水田氏が務め、英国に帰国していたRegの現地でのマッチ・メイキングをはじめとする多大なる協力を得て、遠征を成功裏に終えることができた。


 1990年にはOURFCの日本遠征時に神戸中央球技場で行われた神戸製鋼戦の前座としてRegが1988年ロンドンで結成したオックスフォード大OBチームKew Occasionalsと学士の対戦が実現、Regも団長として同行した(14-6で学士の勝利)。


 その後1997年の学士英国遠征時にも両チームはロンドン近郊で対戦(10-46でKewの勝利)したが、これを最後にしばらく交流が途絶えていたところ、2016年5月、Kew Occasionalsの日本遠征の際、19年ぶり3回目の対戦が実現した。京都・西京極陸上競技場兼球技場で5月18日に行われた学士ラガー倶楽部とKew Occasionalsとの対戦の模様について、受け入れ責任者として、グラウンドの確保、宿舎(京大北白川スポーツ会館)・AMFの手配、京都滞在中のアテンド、所用資金調達のための記念ネクタイの企画・販売等を担当したH2稲葉裕の京大ラグビー部メーリングリストへの報告レポートを以下参照いただきたい。なお、Kew Occasionalsのロックとして出場したTom Clark選手はRegのご子息で、2008年エジンバラ大学の日本遠征時に宝ヶ池球技場で京大と対戦している。



Kew Occasionalsとの国際親善試合(2016年)



 京大S52水田時彦さん(神戸製鋼ラグビー部OB、在フランクフルト)のご仲介により、2016年5月18日(水)に京都・西京極陸上競技場兼球技場にてオックスフォード大OB中心のKew Occasionalsと国際親善試合を行いました。学士は本戦のために京大H25稲垣主将を中心に在関西の京大、阪大、東大の若手OBにてチームを編成しました。


 開始早々、外人特有の長い腕を生かしたブレイクダウンやラインアウトでの攻防で苦戦、ターンオーバー等から立て続けに4本トライを取られましたが、前半の半ば過ぎあたりから学士の低く、激しいタックルが次々と決まり出し、アタックもFW、BK一体となった攻撃でトライを重ねて追い上げ、最終的には26-40のスコアで惜しくも敗戦しました。最後まで集中力の切れない、好ゲームとなりました。


 試合後は四条烏丸のパブに繰り出し、アフター・マッチ・ファンクションで両チームともに大いに盛り上がり親善を深めました。出場した若手の皆さんも初めての外人相手の国際試合で、学生時代のラグビーとは一味違った、ラグビーの素晴らしさを満喫してもらえたようです。「今後、今回出場したメンバーを中心に、関西学士若手チームとして定期的に活動を続けていきたい」、「2018年の学士90周年には英国遠征を実現しKew Occasionalsとロンドンで再戦したい」という声を若手の皆さんから聞くことができ、幹事としてはうれしい限りでした。




 Kew Occasionalsとは1990年(神戸)、1997年(ロンドン)での過去2回の対戦に続く、3回目の対戦となりました。先方は今回の日本遠征で早稲田大OB(5/15@上井草G、32-31でKew Occasionalsの勝利)と神戸製鋼OB(5/21@神戸製鋼灘浜G、71-0でKew Occasionalsの勝利)とも対戦しましたが、これら日本を代表する強豪チームに加え、学士を対戦相手として指名していただけたことは水田さんはじめこれまでの学士のメンバーの方がKew Occasionals創設者のReg Clark氏(神戸製鋼OB)他と築いてこられたKew Occasionalsとの強い絆によるもので、この素晴らしい関係を次の世代に引き継ぐことができました。若手の皆さんが学士ジャージを身にまとって奮戦している姿を見て、不覚にも目頭が熱くなってしまいました。



最後に、昨日のKew Occasionals戦のスコアと試合経過を下記の通りご報告させていただきます。一部内容が不完全となっておりますがご容赦ください。よろしくお願い致します。


H2年(1990年)卒 稲葉 裕





Kew Occasionals R.F.C. 親善試合

〈試合結果〉

学士ラガー倶楽部 26 - 40 Kew Occasionals

2016年5月18日(水) 京都・西京極陸上競技場兼球技場

前半 7 ー 26

後半 19 ー14


メンバー

学士ラガー倶楽部

Kew Occasionals RFC

​1.真嶋(京大H26)

1.Ed Elias

2.藤森(阪大H25)

2.Chris Collins

3.八幡(阪大H27)

3.Mike Vincent

4.稲垣(京大H25)

4.Tom Clark

5.橋本(京大H28)

5.Paddy Boyle

6.但馬(京大H24)

6.Dan Wakerley

7.遠藤(阪大H28)

7.Ben Stevenson

8.小寺(阪大H27)

8.Ed White

9.坂本(阪大H28)

9.Matt Gupta

10.三島(京大H27)

10.Ross Swanson

11.岡崎(東大H25)

11.Rupert Calvert

12.市橋(京大H26)

12.Matt Honeyben

13.森(阪大 現役)

13.Charlie Marr

14. 岡本(京大H23)

14.Rob Stevens

15.鈴木(阪大H24)

15.James Cuthberrson

16.久保田(阪大H27)

17.鈴木(東大H18)

18.赤塚(京大H27)

19.高矢(京大H25)

20.鐙塚(京大H26)

21.井上(京大H27)

22.笹井(東大H21)

<前半>

4分 Kew、自陣22M内ラックから9-14とつなぎ14コーナー右トライ(0-7)[10c-〇]

8分 自陣Kewラインアウトより9-5とつなぎ、5がコーナー右にトライ(0-12)[10c-×]

12分 Kew、ハーフ付近にてラックより9-7-21とつなぎ21ポスト中央トライ(0-19)[10c-〇]

24分 自陣ゴールライン手前にてKewラックより7がコーナー左にトライ(0-26)[10c-〇]

34分 敵陣ハーフ付近ラックより学士7がボールを持ち出しそのままポスト左にトライ(7-26)[12c-〇]


<後半>

2分 自陣ゴールライン手前にてKewがトライ(7-33)[15c-〇]

3分 敵陣10M中央付近にて学士12独走によりトライ(12-33) [13c-×]

8分 自陣ゴールライン手前左にてラックから学士5がトライ(19-33)[15c-〇]

19分 自陣ゴールライン手前ポスト中央にてKew7がトライ(19-40)[10c-〇]

30分頃 学士トライ経過不明(26-40)[13c-〇]


スコアラー: 和田 渚



【稲垣主将コメント】

 京大H25稲垣です。昨日のKew Occasionals戦についてご報告させていただきます。

結果としては26-40で敗戦となってしまいましたが、学士の低いタックルと粘り強いDFで終始緊張感のある好ゲームになったのではと感じております。Kew Occasionals側のメンバーも、前半に4トライ先制した時点で勝ったと感じたが、その後の追い上げや最後まで諦めない姿勢に狂気を感じたと言っておりました。学士としても、Kew Occasionalsの個々の強さや長く強い腕を使ったプレーに苦しめられましたが、日本では中々出会えない激しさを味わうことが出来、良い経験となりました。また、試合後の懇親会でもビールを通しての楽しい交流を行うことが出来ました。

改めて、今回の貴重な機会を与えてくださった事や当日の段取りや資金面等でのサポートをしてくださった方々に若手メンバーを代表して御礼申し上げます。本当にありがとうございました。




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