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045: 数学専攻のトップリーガー(岸岡 智樹選手・早稲田大卒・クボタスピアーズ船橋・東京ベイ、R2 桑田智史/特別インタビュー1)

更新日:2022年1月28日

 名門・早稲田大で一年生から活躍し、大学日本一にも輝いた岸岡智樹選手。クレバーなプレースタイルに定評があり、将来の日本代表入りを狙う。京大の桑田智史さん(R2卒、工学部大学院)と幼馴染という縁で、「数学とラグビー」「文武両道」から、日本ラグビー界の進化を感じさせる新たな取り組みなど、様々な話題について聞いた。



▼クボタスピアーズ船橋・東京ベイ岸岡智樹選手と桑田智史さんの「数学とラグビー」動画はこちら(約9分)



数学とラグビー


岸岡智樹選手(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)

(岸岡)大学の数学の証明問題は、ラグビーに置き換えることができる。

最初の問題が、ラグビーだとスクラム、ラインアウトといったセットピース。ゴールがトライ、ミス、スコア。その間は自由につくることができる。

一次から攻めてもよし、キックしてもよい。その間を埋める作業が、自分が数学を学んでいて、ラグビーに転換できたと思う。

まったく意識していなかったが、2年生か3年生の時に、記者さんに聞かれた。最初は「ないです」と答えたが、時間をかけて答えをひねり出した。証明問題は最初に問いかけがあって、最後は答えがある。問いから出発し、答えから逆算して、真ん中で合致する。

ラグビーもまったく同じだ。10フェーズ考えるときに、最初の3フェーズと、最後の3フェーズをイメージできれば、真ん中の4フェーズは自分たちで自由に選択できる。スタンドオフというゲームを組み立てるポジションからすれば、共通するものを見出した。

また、試合の円陣で、短い時間で話をするときに、端的に説明する数学の方が国語よりも、仲間や監督・コーチに伝えるのに役立った。ひとことにまとめれば、論理的思考力だろうか。

イメージするのは、試合前と試合中のどちらもだ。

試合前は、対戦相手の分析。数学でいう仮定や条件だろう。

試合中も、天候や出場メンバーなどによって変わる。


桑田智史さん(立命館大学との定期戦)

(桑田)アルバイトの塾講師で、まさに証明問題で同じようなことを生徒たちに伝えている。この話を現役の時に知っておけばよかった、と思った。トライまでの最後の3フェーズを考えるという観点がなかった。高校生、大学生の参考になるのでは。





(岸岡)数学を学ばなくても、こういう考え方がある、ということを役立ててもらえれば。

こうしたイメージをできる選手は、大学の時は半分もいなかった。理想を言えば全員がそれを発信し、合わせるのが主将やスタンドオフなのだろう。


岸岡選手のnoteはこちら→https://note.com/so_kishi10/n/nff99645dca41



左)桑田智史さん(R2京大卒)/右)岸岡智樹さん(R2早稲田卒)


〈文武両道ラグビー〉への二つの道


ラグビー スクール時代の岸岡選手

2人は枚方ラグビースクール、中学で一緒にプレーした。中学3年時には岸岡選手がSO、桑田がCTBだった。


(岸岡)当時は僕よりも桑田の方がラグビーの理解度は上で、海外の試合などもよく見て研究していた。ラグビーを感覚的にやってはだめだと教えられるお手本だった。高校(東海大仰星)は顧問の先生に勧誘されて選んだ。高3で花園優勝が一番の思い出だが、桑田のいる合同チームとマッチアップしたのを思い出す。高校が「文武両道」が掲げられていたのが自分には合っていた。大学でどちらもより高いレベルでやりたい、でも一方だけで大学進学できるほどではない、それなら掛け合わせて、と思って早稲田を選んだ。寮生活だったこともあり、どうしてもラグビー中心の生活だったが、桑田はちゃんとラグビーをやってるのかな、どうやって両立しているのかな、と思っていた。教育学部数学科は僕で2人目。桑田には勉強をよく助けてもらい、桑田がいないと卒業できなかった。グラウンド内外でのかかわりが続くのが、ラグビーの良さではないか。頼りっぱなしで頼られたことはない。もっとラグビーのことを聞いてくれたらよかったのに。


中学時代。中三の秋の大阪府大会準決勝。一番右が岸岡選手、第2センターが桑田選手。

第2回ヒーローズカップ準決勝トーナメント出場時の写真。中列右から3番目が岸岡さん、5番目中央が桑田さん


桑田智史さん。高校三年生で東西選抜に出場。

(桑田)岸岡選手が朝練習でパスを繰り返していた姿が、今のパスの速さを支えているのだと思う。僕は中1から塾に行くなど勉強もしていたので、一般入試で高校(大手前)に進んだ。高校では、東西対抗の選抜チームとして花園で試合ができたのが印象深い。高3になりたてのころに京大を目指そうと思った。関西で一番のところに行きたかった。大学ではラグビー寄りの生活だった。大学ラグビー界で有名な岸岡選手から「お願い、数学助けて」と言われて、得意な気持ちになっていた。ラグビーの知識を得るために早稲田の試合はずっと見ていた。キックの種類も豊富だし、大いに参考になった。


第56回全国大学ラグビーフットボール選手権大会で優勝(早稲田45-35明治)(国立競技場)
第56回全国大学ラグビーフットボール選手権大会。岸岡選手はスタンドオフで出場。



▼クボタスピアーズ船橋・東京ベイ岸岡智樹選手と桑田智史さんのの「文武両道ラグビー」動画はこちら(約18分)

2021年4月20日ZOOMにて取材

麻植渉(H2/SO)西尾仁志(H2/CTB)谷口誠(H14/FL/日経新聞記者)




クボタスピアーズ船橋・東京ベイ岸岡智樹選手のプロフィール

1997年、大阪府生まれ。枚方RS、枚方市立蹉跎(さだ)中学、東海大学付属仰星高校、早稲田大学を経て、現在クボタスピアーズ船橋・東京ベイに所属。ポジションはSO。高校3年、大学4年時には全国優勝。代表歴はU-20、ジュニアジャパン。早稲田大学ラグビー蹴球部では2人目の教育学部数学科所属として文武両道に取組み、現在もSNSで積極的に情報発信し、全国でラグビー教室を開催するなど、ラグビー選手として新たな可能性に挑戦している。


桑田智史さんのプロフィール

1997年、大阪府生まれ。枚方市立蹉跎(さだ)中学、大阪府立大手前高校を経て、現在京都大学大学院工学研究科の修士2年生。高分子の構造解析を専門分野として研究に勤しんでいる。ラグビーは小学1年から地元のラグビースクールで始め、高校3年時には合同チーム東西対抗戦の西日本代表に選抜される。京大では2年からレギュラーとなり、2018年のBリーグ昇格、翌2019年のBリーグ3位躍進に10番として貢献。



▼ラグビー関係者、学生のみなさんへのメッセージ動画はこちら(約4分)

●全国のラグビー関係者のみなさまへ

岸岡智樹選手のご厚意により、「学生のみなさんへのメッセージ動画」(約4分)は、ラグビーのPRや部員勧誘のために自由にご活用いただけます。ウェブサイトに動画のリンクを張ったり、SNSなどでぜひご共有ください。

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