082: 「ボールを持ったら走れ」「持ってる選手は倒せ」(坂田好弘・元関西ラグビー協会会長/元ラグビー日本代表/特別インタビュー2)

ラグビー界の「レジェンド」坂田好弘さんは、様々な形で京都大と縁が深い。高校時代に京大で練習した経験もあり、同志社大の現役時代や大阪体育大の監督時代には何度も対戦した。これまでの歩みを聞いた。

IRB(国際ラグビーボード。現ワールドラグビー)から殿堂入りを認められ、贈られた認定キャップ(中央上)。


――ラグビーとの出会いは


自宅から近い京都府立洛北高校を受験した。合格発表の日、グラウンドを見たらラグビーの練習をしていた。中学では柔道をしていて、ラグビーのことは何も知らなかったが、広々としたところを走り回る開放的な雰囲気に衝撃を受けた。その足で部室に行って入部を願い出た。

まだ入学前の1週間後、部長に「あした試合するぞ」と言われ、河原町三条にスパイクシューズを買いに行った。先生に「何をしたらいいか」とアドバイスを求めると「ボールを持ったら走れ」「ボールを持ってる選手は倒せ」と言われ、「それなら簡単だ」と思った。ラグビーの本質を表現していると思って、それ以来ずっと頭に置いてきた。

相手は同志社大の二軍。右ウィングで出場した。柔道で体を鍛えていたし、足も速かった。SOがキックしたボールを追いかけて相手陣で受けて走り、トライしたのを覚えている。試合後、先生には「タックルがよかった」と褒められた。ラグビーを知らないから、自分のマークではない相手センターにもタックルに行ったからだろう。

 現役時代に合計して700トライはしたのではないか。


▼坂田好弘さん「ラグビーを始めたきっかけ〜ボールを持ったら走れ」動画はこちら



――同志社大に進んだ


「ラグビーしてたらどこでも大学に行ける」と先輩に言われ、その気になった。兄や姉も行っていた同志社大に進んだ。さすがに直前は日本史の勉強を集中してやった。

京都大とは3回ぐらい対戦したが、他の大学とは違う緊張感があった。星名秦先生が指導されていたから、いつも「何かやってくるのでは」と思っていた。京大戦に勝てば、残りの試合はスムーズに戦えると意識していた。

高校時代に農学部グラウンドで練習したし、練習試合をしたこともある。母校の洛北高校と同じ濃紺のジャージーだったので親しみも持っていた。伝統を感じたし、ライオンのマークもかっこいいと思っていた。



――社会人では近鉄でプレーした


 10年間プレーしたが、仕事が優先だった。入社して1年半は研修で、各部門を回った。その後の実習で車掌、駅務、運転士もやった。あやめ池駅に配属され、終電後と始発前の掃除も担当した。仕事が終わってから練習した。

当時は近鉄と八幡製鉄が強く、練習は厳しかった。もっと効率的にやれたのかもしれないが、理屈抜きに鍛えた。当時の社会人選手権は1日おきに試合があり、決勝にもなると体に技術を覚えこませて勝手に動くように準備しないといけない。

花園ラグビー場での夏合宿は、地下のサウナのような部屋で寝泊まりした。冬の全国大会の前にも合宿した。真冬に朝5時起きで練習するが、日の出直後が一番寒い。でもグラウンドが凍る感じが好きだった。

10年間で4回、優勝した。最初の5年間で3回勝ったが、その後なかなか勝てない。同期はどんどん辞めていく。9年目に決勝で1点差でリコーに負けた。それが悔しくて、もう1年やることに決めた。「これが最後」となると、一日ごとの練習、瞬間を大事にするようになり、充実していた。生駒山までのランニングも、それまでは後ろの集団を走っていたのに、最後の年は先頭を走っていた。

最後の年、準決勝の釜石戦は同点で抽選勝ちして決勝に進み、リコーに雪辱を果たした。日本選手権は早稲田大が相手。残り20分は、「ボールを触って終わりたい」とずっと考えていた。相手パスをインターセプトして左隅にトライして試合終了。現役生活が終わった。



▼坂田好弘さんのプロフィール

1942年生まれ。洛北高校では3年連続で全国大会に出場。同志社大1、3回生で全国制覇。1965年に近鉄入社。同大在学中に日本代表に選出され、16キャップ。68年の日本代表NZ遠征でオールブラックス・ジュニアを破った試合で4トライ。69年のNZ留学ではカンタベリー州代表、学生選抜などに選ばれる。大阪体育大学ラグビー部監督を辞任後、関西ラグビー協会会長、日本ラグビー協会副会長を務めた。国際ラグビーボードは2012年、1960年代の世界で最も優れた選手の1人として、日本人として初めてラグビー殿堂入りを決めた。

2022年2月15日、京都市左京区の坂田さん自宅で収録

取材:水田和彦(S52)、奥村健一(H2)、山口泰典(H4)、但馬晋二(H24)


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