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017: 平尾誠二さんが思い描いた日本ラグビー界の姿(山中伸弥・ iPS細胞研究所所長/特別インタビュー2)

更新日:2021年11月26日

"To The NEXT 100 Yrs" 次の100年へ。

《特別インタビュー》


山中伸弥さんの憧れの存在がラグビー元日本代表の平尾誠二さんだった。同志社大学や神戸製鋼でも数々の栄冠に輝いたレジェンドと山中さんは厚い友情を育み、5年前にがんで亡くなるまでその闘病を支えることにもなった。山中さんがラグビー愛を再燃させるきっかけともなった「ミスターラグビー」との思い出を語ってもらった。



▼山中伸弥教授(iPS細胞研究所所長)の「特別インタビュー2」動画はこちら(7分)



――平尾さんとの出会いの前後で変わった点はありますか?


僕は大学6回生の時にラグビーを基本的に引退しましたが、平尾さんが大好きで。あの頃は同志社大学がすごく強かった。日本選手権で新日鉄釜石と接戦を演じて、最後は惜しくも(日本代表でも活躍したスタンドオフの)松尾雄治さんにやられた。それを必死になって見ていました。その後、平尾さんは神戸製鋼で(スタンドオフとして活躍した)藪木宏之さんと一緒に輝かしい戦績を残されました。

平尾さんが引退されて、僕もラグビーを見なくなっていました。人気でもサッカーに逆転され、テレビ放映も少なくなって僕も少しラグビーから離れていましたが、平尾さんと思わぬ出会いがちょうど10年前にありました。想像していた以上に素敵な方で、僕は彼のことが本当に大好きでした。平尾さんに誘ってもらって日本選手権決勝の神戸製鋼の試合も見に行ったし、色々な海外のチームが来た時も一緒に見に行ったりして、それでまたどんどんラグビーに引き込まれていきました。しばらく離れていたうちにルールも随分変わっていました。でもこっちの方がいいな、進化したなと思いました。そのうちにジャパンがこんなに強くなりました。


――日本代表が強くなった基礎を作ったのは平尾さんだと思います


まさにそうだと思います。



――この先、日本のラグビー界がどうなればいいと平尾さんは考えておられたのでしょうか?


底辺をいかに広げるかがすごく大切だと思います。彼は小さい子どもたちにいかにラグビーを広げるかをいろいろ考えて、尽力していました。今回もワールドカップでラグビーがすごく人気が出ました。コロナでそれがちょっと中断していますが、コロナはずっと続くわけではない。先ほど(特別インタビュー1)も言いましたように、次のシーズンはコロナの状況がずっと好転していると信じています。ワールドカップでバッと盛り上がったラグビーの人気は、正当な評価だと思います。僕はラグビーが正当に評価されていないというか、面白さがみんなに伝わっていなかったのではないかと思っていましたので、ようやくちゃんとした評価がされつつあると思います。これがぜひ続いていってほしいです。今、平尾さんがいたら色々なことをやっていたと思いますから、僕も微力ですが何かできることがあれば少しでも協力できたらと思います。




――京都大学iPS細胞研究所で寄付を募られています。寄付という行為の重要性をどうお考えですか?


わたしたちの研究は(その成果を)患者さんに届ける作業ですが、20、30年単位の時間がかかる。国の支援もたくさんいただいていますが、20、30年走り続けようとするとそれだけではできない部分があります。特に、人の雇用は国の支援ですと1年や数年単位しか雇えませんので、20、30年単位で優秀な人を雇うことができません。だから、そこは寄付という形でやっています。

アメリカだと大学の学長や研究所長が一生懸命に寄付を集めるというのは当たり前です。アメリカのいいところは見習いたい。日本の色々なスポーツ、ラグビーなんかも寄付活動は今も一生懸命されていると思いますが、もっと広がっていっていいんじゃないかと思います。寄付で集まった支援をどう使うのか、ラグビーの中で特にどこに使うのというのを「見える化」すると、寄付する人もやりやすくなる。寄付活動をしていて、そういうことを感じています。


取材:谷口 誠(H14/FL、日本経済新聞 記者)/西尾 仁志(H2 /CTB)

(2020年12月17日/ZOOMにて取材)



▼講談社刊『友情 平尾誠二と山中伸弥「最後の一年」』刊行記念で開催された写真展


▼山中伸弥さんのプロフィール

1962年、大阪府生まれ。神戸大学医学部時代に3年間、ラグビー部に所属した。1987年に同大卒業。1993年に大阪市立大学大学院医学研究科博士課程修了。米グラッドストーン研究所博士研究員などを経て、2004年から京大再生医科学研究所教授。2007年にヒトの皮膚細胞からiPS(人工多能性幹)細胞の作製に成功した。2010年から京大iPS細胞研究所長。2010年に文化勲章、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。



▼学生のみなさんへのメッセージ動画はこちら(4分)


●全国のラグビー関係者のみなさまへ

山中先生のご厚意により、「学生のみなさんへのメッセージ動画」(4分間)は、ラグビーのPRや部員勧誘のために自由にご活用いただけます。ウェブサイトに動画のリンクを張ったり、SNSなどでぜひご共有ください。



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